交通事故の詳細データを事故ミクロデータといいます。この情報は交通事故防止や被害軽減のために、事故原因を科学的に調査・分析・研究するために収集されています。この記事は事故ミクロデータについて忘れないための備忘録です。
事故ミクロデータについて
事故ミクロデータってなんですか?
事故ミクロデータは、交通事故発生時の詳細(ミクロ観点)「運転者の状況」「道路の状況」「車両の状況」「傷害の状況」 をまとめた記録です。
事故ミクロデータは何に使用するんですか?
ミクロデータからどのように事故が発生したのか、またその傷害状況を確認することができるため、より安全な自動車開発や、事故が発生しにくい道路システムの開発に利用します。
事故ミクロデータから得られる知見
- 車両デザインの改善
- 傷害発生メカニズムの解明
- 道路設計と安全対策の改善
- 衝突シナリオの把握
- 事故に与えるヒューマンファクターとその影響
また、事故マクロデータと合わせて用いることで、発生件数、時間帯、季節、地域性など様々なデータと合わせてみることができます。
最近ではADやADS等の開発の観点から事故の発生状況の再現が求められています。海外のデータでは右側通行、標識など、日本の交通事情との違いは大きく、日本の事故ミクロデータを事故ミクロデータの需要が高まっています。
事故ミクロデータはどこで確認できますか?
日本では、事故ミクロデータは個人情報保護の観点から一般公開はされていません。許可制となっており、交通安全の予防対策にかかわる機関・企業・研究者にのみ利用が可能です。
海外でも事故ミクロデータは調査・分析が行われています。また、アメリカやイギリスでは事故ミクロデータが公開されています。
日本の事故ミクロデータ
日本では、交通事故総合分析センター(Institute for Traffic Accident Research and Data Analysis:ITARDA)が事故ミクロデータを収集しています。ただし、事故ミクロデータは個人情報保護の観点から一般公開はされていません。
ミクロ調査は、つくば交通事故調査事務所で実施されており、年間160件ほどの調査を行っています。
海外のミクロデータと比較して、件数こそ少ないですが、収集・調査項目は多く、運転者の心理状態や直前の行動、道路環境、衝突後の車両の変形状況や停止位置、乗員や歩行者の負傷状態など約650項目について収集を行っています。また、事故当事者からのインタビューや医師・救急隊・警察の情報を収集しています。
海外の事故ミクロデータ
GIDAS@ドイツ
GIDASはGerman In-Depth Accident Studyの略称です。ドイツで実施されている詳細な(In-Depth)交通事故の調査報告・研究です。
CIREN&CISS@アメリカ
アメリカ運輸省(USDOT)の道路交通安全局(NHTSA)でまとめている、 自動車の衝突事故の発生状況とその傷害内容をまとめたデータベースで、Crash Injury Research Engineering Networkの頭文字をとって、CIRENと呼ばれています。1996年に発足し、年間約330事故の調査を8つの外傷センターで行っています。また、同様な調査を全米24か所で実施しているCISSもあります。
CCIS@イギリス
イギリスで実施されていたCCISは2010年で終了しており、現在情報が公開されていません。事故マクロデータのみが公開されています。このCISS、OTS(On The Spot)、HVCIS(Heavy Vehicle Crash Injury Study)、TCIS(Truck Crash Injury Study)などは終了し、RAIDS(Road Accident In-Depth Studies)で運用されています。
https://www.pacts.org.uk/wp-content/uploads/Ian-Yarnold.pdf
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